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【アンケート結果から
 ●小学校の時嫌いだった理科が、中学校では実験・観察をして結構好きになった。
 ●今まで理科は好きでなかったが、音の実験で好きになった。
 ●実験が面白い。
 ●計算は難しいけど、理科は楽しい。】



「このような授業で行った実験のアンケートの結果を見てもらおうと思います。
 これは、1年生の音と大気圧、力の学習の後です。子どもたちはとても楽しんでくれていました。
 『小学校のとき嫌いだった理科が、中学では好きになった』という人や、『音の実験で好きになった』という人がいました。この、『音の実験で好きになった』と回答した生徒は、とても優秀な子で、『え、理科好きじゃなかったの』とびっくりしました。しかし、この実験で理科が好きになった、とはっきり書いています。この生徒は、実験の様子、授業の様子もそれから変わってきたように感じます。
 それから、難しさを感じているけど、楽しさも感じる。こういう実験を積極的に行っていくと、こういうことを子どもたちは感じてくれる、と思っています。」



【実験はおもしろくない?!
 ●実験を楽しむには理解が必要
 ●面白くするための工夫
 ●実験の流れの重視
 ●インパクト
 ●生徒の反応を感じる。つかむ。】



「こういうようなことをやっていく中で感じている、自分の気持ちです。
 ここは軽く聞いてほしいんですが、まず私はこれだけの実験をやっています。やっていますが、その中で一つ思っていることは、実験は面白くないと思ってます。これは今まで言っていたことと違うことですが、なぜ面白くないのか。
 実験を楽しむためには子どもたちに対してきちっと準備をしてあげる必要があります。子供たちが実験を楽しむための準備です。
 中学生は中学生の、小学生は小学生の、幼稚園児は幼稚園児の、大人は大人の準備があります。楽しむことは皆それぞれ違っています。だからそのときに対象にしている人たちに合っている準備してあげないと、絶対実験は楽しんでくれないと思います。
 実験を楽しむためには、中学生だったら絶対に理解させることが必要です。ただ現象を見せるだけでは付いてきてくれません。」



「それから面白くするための工夫です。これは今の講義の流れの中で感じでもらえたら良いと思います。
 それから実験の流れの重視です。やはり中学生になると、考えること、分かることを楽しいと思います。そのときに実験があるとさらに楽しさを感じられるのだと思います。だから、流れはとても大事です。
 あとは、インパクトです。インパクトに関しては詳しく説明しなくても分かりますよね。
 それから、生徒の反応を感じる、つかむということです。生徒をしっかり見ていくことが大切です。今も皆さんの顔を見ながら話をさせてもらいました。これは教員にとっては当たり前なのかもしれませんが、子どもたちの顔をきちんと見て授業をしないと、どんなことをやっても子どもは付いてきてくれないと思います。
 だから実験があるだけで面白いだろう、ということはないです。実験があって、そして実験を楽しむための工夫があって、はじめて子どもたちは実験を楽しんでくれる、そう思っています。」



【実験準備
 ●実験準備の方法は、そのクラスの実態に応じて行う→いつでも同じ準備ではない。
 ●実験時間に合わせて
  (時間内に終わるように)
 ●実験の役割分担
 ●実験を安全に進めるため】



「それから、実験準備ということなんですが、実験の準備方法はクラスの実態に応じて行います。いつも同じ準備はしていません。これは後で少しお話しします。
 それから、実験時間に合わせて行います。時間内に終わるように、ということです。50分の授業を大事にしますが、50分以上かかることはやりません。チャイムと同時に授業を始めて、チャイムと同時に終わるようにしています。必ずそれは工夫して、そのための実験準備をきちんとしています。
 学校では実は、結構適当でも何とか成立してしまいます。ですが、一般の実験教室を担当するときには、きちんと約束した時間で終わるようなことを考えていかないと、やはり相手は困ってしまいます。
 例えば、今、私は適当に配りましたが、実験で皆さんに配るものは全部袋に入れておいたりしています。学校では袋にいれる、ということはないですが、でも全部トレイに準備しておいたりします。例えば子どもが教室に入ってきたときに、全部実験の準備ができている状態から始めるようなときもあれば、これは子どもたちにやらせたいな、というところは、わざと子どもたちに準備をさせるようします。
 それから実験の役割分担をさせます。役割分担はなるべく子どもたちに明確に伝えています。」



「それから一番最後に、実験を安全に進めるため。
 とにかく、安全がないと実験は行ってはいけないと思っています。これはどこでもそうですが、やっぱり怪我が一つでもあったら、実験教室が全部だめになります。だから、どうやったら怪我をしないかを考えています。
 学校ではないですが、カッター、マッチの扱いは、とても気をつけています。落ち着いた学校ではいいのですが、少し落ち着きのない学校に勤務すると、やはりマッチの扱いがとても大事になります。
 大変なときは、マッチ箱の中にマッチの本数まで決めて入れます。今日の実験で2本使う、と思ったら3本入れておいたりします。『足りなくなったらすぐ先生に言いなさい』と伝えておいて、最後に燃えかすを確認します。
 そこまでやっていかないと、実験ができないときもあります。でも、その工夫をすることで実験ができるのであれば、それくらいの手間は惜しまない方が良いと思います。実験をやらない、ではなく、どうしたらその子たちが実験をできるかを考えていくことが大切です。」



「それから、こうなると失敗だよ、という失敗例をきちんと子どもたちに知らせておくことも大事です。
 これは私じゃなくてある先生がおっしゃっていたのですが、よく行われる水の電気分解で、水素と酸素が出ます。それに火をつけますよね。その前に、その試験管を少し傾けてもらいたいんです。気体の量は結構違っていたと思います。片方は、水素と酸素が混ざっています。そこに火をつけたら破裂はしませんでしたが、近くにいた子は耳がちょっと悪くなって病院に行きました。そういうこともありえます。
 あの実験は結構問題がありまして、炭素棒を使うと、ある程度薄い水酸化ナトリウムだと、出てきた水素と酸素が2:1にならないです。この話についても見逃してしまったのだと思いますが、やはりきちっと子どもたちに、混ぜたら危ない、ということは知らせておかないと、やってしまう可能性もあると思います。」


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