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「これは図で描くと、重力は2枚重ねた方には、2倍かかってるわけですね。1枚の方は1倍ですね。
  だけど空気抵抗が、このコーヒーフィルターの場合は大きい。
  そうすると、これを引き算をしたら(下向きにかかる力から上向きにかかる力を引く)、1枚の方はちょっとしか残らない。2枚重ねた方で引き算したのは、これだけの大きさになる。
  するともう、下向きにかかる力は2倍ではありません。2枚の方は5倍か6倍になってしまう。重い方が速くなってしまいます。
  フィルムケースの場合は、重力はまあ2倍としても、空気抵抗は重力の大きさに比べて小さい。すると、下向きの力と質量の比は、ほとんど変わらないでいけてしまいます。
  でも空気中で落下させれば、空気抵抗の影響は絶対に無視できません。長い距離をいけばいくほど影響が大きく出てきます。
  ですから、高いところから落とすとこれは見えるんですよ。」



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「どなたか机の上に乗ってやってみてくれませんか。机の上くらいなら見えるはずです。
 (受講者が一人出てくる)
  お願いできますか。すみません。
  じゃあまずコーヒーフィルターからいきますね。」
  受講者「こっち(右側)が2枚でこっち(左側)が1枚。」
 (落としてみる)
 「これはもっと差が大きくなりました。終端速度にそれこそ達してるわけですよね。」
  受講者「こっち(右側)が空でこっち(左側)が砂です。」
 「違いを見てください。最後の辺り。
 (落としてみる。砂入りのケースが空のケースよりも早く床に着くのがわかる。)
  ということで、長い距離をいけば、空気抵抗の影響で重さの違いが出てくるということが分かるわけです。
  自由落下させると重さによらないっていうことを習いますね。それは真空中のことです。先生が「重さによらないよ」と言って、今のフィルムケースの実験をやって見せても、そこには本当は差があるのです。
  これが誤差範囲、人間の視覚では見えない範囲の中で行われるから、「差が無いよ」という実験に使われてしまうわけですが、それは実は正しくないことなのです。」



【氷つり
  問題:氷をひもで釣るにはどうしたらよいでしょう?
  ○説明を考える
  ○また違った分野の微視的描像
  ○発表する
  ○この問題を発展させるには?】

「氷をひもで釣るっていうのは皆さんやったことはあります?
  じゃあね、今ここで氷を持ってきてくださったので、グループごとに氷を持っていってやってみましょう。
  よく考えて塩を処方してくださいね。」
 (グループごとに研究)



「普通氷の上に紐を置いておいただけでは、固まりませんね。凍らない。
  それで、何かしてやらないといけないんですが、何をしてやるかというと、塩を上にぱらぱら、と。
  これ、何をしているんでしょう。塩を撒くということは。」



「塩をぱらぱらって撒くと、どうなりましたか。そこのグループどうですか。」
  受講者「氷が融けて」
 「融けましたよね。なぜ塩を撒くと融けるんだろう?」
  受講者「濃度を同じにしたいから、塩の周りに水がちょっと融けるとすごく濃い食塩水になって。そうするともっと水を欲しくなるから、氷から水を奪って、そのときに融ける。」
 「じゃあ水を奪われた氷は、温度的には温かくなったんですか、冷たくなったんですか。」
  受講者「温度は下がる」
 「温度は下がる。融けたのに下がるのですか?
  融けたのに、なぜ温度が下がるんだろう?」



「じゃあ、温度を測ってみましょう。その融けているところを(温度計を持っていく)。
  もうだいぶ融けちゃっていますね。マイナス0.5度くらいですね。
  新しく塩を撒いて温度を測ってみます。
(測定)
これはマイナス9度。融けている状態の時に、温度がすごく下がっていますね。
皆さんはアイスクリームを作ったことがありますか。氷に塩を混ぜて、缶のようなものに入れて、がらがらと転がして作りますね。なぜ塩に氷を混ぜるかというと、0度よりも低くなるからです。」



「塩を混ぜると、一体どうして0度より低くなるのか。凝固点降下とか、そういう言葉で誤魔化さないで説明してくれませんか。」
  受講者「北極の氷は0度以下なのですか?」
 「海氷のことですか。氷は気温が低くなれば、どんどん冷えますね。冷凍庫に入ってる氷はマイナスになっていますよ。融けている氷が0度です。
  熱をどうしてるんでしょう。」
  受講者「熱を奪って自分が融ける。だから温度は下がる」
 「そういうことですね。融けるという現象は、吸熱反応です。周りから熱をもらっているんですね。
  凍るという現象は発熱反応です。今まで持ってたエネルギーを外に出して、自分が固体になる。」



「私はこの概念がすごく分かりづらかったのですが、ああ、なるほどと思ったのが、平衡状態の考えを入れた説明でした。
  左側が氷だとします。右側がまあ、水だとすると、この表面ではどちら向きの変化も起こっているわけです。
  氷が水になる、融ける変化と、水が氷になる、凍る変化と、両方が平衡状態になっています。
  そこで、表面に塩を撒くと、水から氷になる変化が起こりにくくなりますね。異物が入って、分子間がきちっと繋げられなくなる。水から氷への変化が阻害される。
  だからどんどん融けるばっかりで、解けると熱をたくさん奪うわけですよね。だから冷える。
  ということで、たった、この氷つり、小学生の遊びみたいなやつですが、それにすごく深い概念がある。
  それが分かっていて子どもたちに教えれば、もっと子どもたちにもいいアプローチができる。先生になるためには先生自身が探究の過程を知っていて、なんでかな、なんでかなって探っていく姿勢が大事じゃないかなと思います。」


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