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【静電気の正体
問題:電気盆で静電気を起こすにはどうすればよいか?カチンコの鋲を静電気で動かすには?
○なぜ静電気が起こるのか
○説明を考える
○微視的描像が見えてくるか
○発表する】
「次の実験。この湿度の高い時に静電気の実験をやるということなんですけれど、うまくいくでしょうか。ぱちっときづらいですね。」
(雨がしとしとと降る梅雨時。さらにこの教室で行われた前の授業では、学生がほぼ満席状態ですわっていた。)
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「いいでしょう、これ(人形)。
風船をこすって、毛がうまくなびきますか、全然保証は無いです。
感じていますか?(風船を人形に近づける)
結構私の手も湿っているんですね。(何度もやり直す)
あまり動かないですね。静電気はこうやって風船をこすることによって起こせることを、お見せしたいのですが。
(次に定規を毛皮でこする)ああ、立っていますね。」
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「今日は皆さんに電気盆の実験をしてもらおうと思います。
下に発泡スチロールのお皿を置きます。多分2枚重ねた方が良い。
その上に今ここに用意してあるアルミ箔をかぶせたお皿を置いて使います。まず、下のお皿をこすって、アルミ箔のついた皿を乗せてください。
こすると下の皿に静電気がおきますね。マイナスの電気です。
そこにアルミ箔のついた皿を載せると、アルミ箔にプラスの電荷が誘導されて、ぱしっと引き合います。皿の上の折り返されている側のアルミ箔には、逆にマイナスの電荷が誘導されます。アルミ箔に触って、マイナスの電気を逃がします。人間の体を通して、地面に逃がしてしまうわけです。
アルミ箔のついた皿を持ち上げると、この間にプラスとマイナスの電荷がびしっと引っ張り合っていますから、それをむりやりはがす。そうするとアルミ箔のついた皿はプラスに帯電しています。乾いてる日にはこれに指を近づけるとぴしっといきます。
やってみてください。」
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「濡れたところに触ると電荷はみんな逃げていっちゃいますから、乾いたところでやってください。」
受講者「水がどうなっちゃってるんですか?」
「水の分子がいっぱい空気中にあるわけだよね。そうすると、静電気とどういう関係になるのかな?
水という物質は極性を持っています。プラスの部分とマイナスの部分がある。
だから、電荷を持ったものがそばにきたら、そこに水の分子がぴたぴたとくっついてしまいます。指が近づく前に電気を持っていってしまう。電気盆の電荷は中和されてしまうわけです。
これを冬の乾燥した日に暖房のよく効いた部屋でやれば、ばっちり感電します。私もどこの科学館でもだいたい静電気は冬にしかやらない。でもそこをやろうとするところに、また探究的活動が展開するわけです。」
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「静電気の実験の応用です。揺れてるのが分かるかな。
2,3日前にすごく湿度が高い時にもいったんですけどね。今日はうまくいかないですね。ああ、動いた。揺れていますね。
風船を近づけると揺れる。風船を離すと、また揺れる。
何が起きてるでしょう。
帯電したもの(風船)が近くにくるから、まあ物理的に言えば電場が起きるわけですね。
風船がマイナスに帯電しているとしたら、このアルミ箔は、コップの風船側がプラスに帯電し、コップの鋲側がマイナスに帯電します。
すると、鋲もプラスとマイナスに分極して、コップのアルミ箔に引きつけられます。
鋲のコップ側は、プラスに帯電して引っ張られます。
コップにぶつかると、鋲はマイナスの電荷をもらいます。今度はマイナスの電荷同士なので反発して離れます。振れて、もう一つのカップにぶつかると、そのマイナスの電荷を第2のコップのアルミ箔にあげてしまいます。
電荷を失った鋲は、また第1のコップに引きつけられます。」
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「今度は、アルミ箔を巻いたコップと、アルミ箔を巻かないコップの間に鋲をつるします。どうなるでしょう。
今、説明しましたね。風船を近づけると電場が生じます。風船がマイナスだったら、コップの風船側がプラスになって、コップの鋲側がマイナスになって、鋲は引っ張られる。引っ張られて、ぶつかって、電荷をもらって、離れる。
それで、こっちのコップにアルミ箔がなかったら?」
受講者「離れたけどまた戻る」
「離れて、電荷をあげられなかったら中性にならないわけですね。離れたままなのです。」
(なかなか動かないので、風船をプラスチックの板にかえてみる)
「2,3日前の実験ではうまくいったのですが。お、やったぁ。動くんですよ。
だから、本当だったらね、乾いた日、止まったままのはずなんです。だけど今日は湿ってるから放電するわけです。空中の水蒸気に電荷をあげて、放電してしまうわけです。だから中性になって戻ってきます。鋲が揺れます。
これは放電してまた戻るというので、湿度の高い日本ならではの実験ではないかと思います。どうですか、電荷の移動が見えるでしょうか。」
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「皆さんもやってみますか?
今日はコップを3つ持ってきました。コップを3つ置いて、その間に鋲を2つ置いて、風船でも電気盆でもいいですから、こすって片側に置いて、鋲を揺らしてください。
距離が結構問題なので、うまく調節してください。糸を巻いたり、出したりすれば、距離の調節ができます。
電荷って目に見えないやつが鋲の動きで見える。静電気の実験は簡単にできるので、また家でやってみてください。」
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