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「だから、皆さんに今日やってもらうのは、紙をこれだけ持ってきましたから、台は一つしかありませんが、作って試してみてください。
  いろいろな橋が考えられますね。こうやって、コップに重りを乗せていって、できるだけで重さに耐えられる橋を作ってください。
  基本的に紙1枚。切りたい人は切ってもいいですよ。切って強度が強くなればそれで結構です。テープを使いたい人は2cmまで使っていいです。テープを使えばそれだけ強くなるから、2cm以上使ってはいけません。」
 (蛇腹折りにしたものを受講者が持ってくる)
 (重りをどんどんコップに入れる)
 (真ん中から折れる)
 「ああ、まあ過渡的状況もあるから、重りいくつで折れたかは判断が難しいですね。」



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(丸めたものを受講者が持ってくる)
 (電池を乗せても折れない!)
 「今のところこの丸めたのが一番強いですね。
  皆さんも試してみましょう。」
 (三角に折ったものを受講者が持ってくる)
 (重りを乗せたら折れてしまう)
 (細かく蛇腹折りしたものを受講者が持ってくる)
 (重りを乗せたら折れてしまう)
 「どうぞ、皆さん試してくださいよ。重りを置いておきますから。
  案外簡単なのがいいかもしれない。」
 (縦に折ったものを受講者が持ってくる)
 (折れる)



「いろいろな考えも出てくるし、大人は結構、固定観念がありますね。ああしなきゃいけない、こうしなきゃいけない、三角がいい、丸がいいと、もう知ってる人は既成概念を駆使しようとしますが、案外全然違う発想でやってみると、ああ、そうなのかって思うことがあります。
  だから探究というのは、本当にばかにならない。やってみて全然思いつかないことを子どもたちが出してくるし、それに対応できるような力量が教師にないと、子どもたちの本当に探究する力を伸ばせないのではないかと思います。
  だから、自分で試してみることがまず大事です。
  自分が試していなかったら、子どもたちが試したものに応じられません。」



【探究に必要な要素
  ○問題
  ○実験・観察(仮説を検証できるような実験・観察をデザイン)
  ○データ集め
  ○結果の説明を考える
  ○他の説明は成り立たないか、話し合い
  ○発表して、もっと意見を募る
  ○指導者:科学的知識は2000年の蓄積の上に立つ】

「探究に必要な要素を挙げてみると、問題、実験観察、データ集め、結果の説明、他の説明は成り立たないか考える、発表してもっと意見を募る、ということになります。
  似たようなことを今日皆さんにやってもらいました。最後に概念まで結びつけるわけですが、これを子どもたちから出すことはまず不可能だと考えてよいでしょう。というのは、科学には2000年の歴史があってできていますから、その場で発見させようとしても、ある程度のところまではいくけれど、きちっとした概念まで結びつけるのはかなり難しい。それは指導者がもう少しのところで、これはこういう風に考えられるんだよ、というところまでもっていってあげないと不発というか、途中までで終わってしまいます。」



「また、子どもたちの理解を深めるには、今持ってるもの、子どもたちが持ってるものと結び付けてあげる。日常経験と結び付けてあげることが大事です。
  だからこういう橋だって、君たちの川の近くに橋ない?みたいなことから始めればいいし、じゃあ三角のもの、どこにどういう三角のものがある?とか日常のものと結び付ける手段はいろいろあるわけです。
  さらに、話し合い。皆さん、今日話し合いましたよね。それは、一人一人が探究するよりも、もうちょっと広がりがあってほしいと思ったからです。
  子どもの理解のレベルはそれぞれ異なります。ですから、今日説明したことなんかは、微視的描像なので小学校一年の子にはもちろん難しいでしょう。だからそれをどんな風に一番ふさわしい言葉で表現して子どもたちに投げかけられるか、そこが重要になってきます。
  最後に、記憶に残す。子どもたちってすぐに忘れてしまうから『今日の実験は何だった』って言って、一つの言葉、あるいはフレーズでも言っておくと、それが後に残ります。
  今日の私の話の中でキーワードは何でしょうね。フレーズでもいいし。皆さん一人一人が思ったことは違うと思いますが、やはり『探究』でしょうか。」



「最後に、みなさんが素敵な理科の先生になること、あるいは先生にならなくとも、科学する心を持った成人としてこれからの人生を歩まれることを期待します。
  今日はどうもありがとうございました。」


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