「理科教師としてトップをはるには!」

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記念すべき「授業の達人」の1回目です

 

自己紹介

私の教員歴は高校の数学教師から始まって,次に高校物理,中学校理科,そして青少年科学センター(教育委員会)です。そこで小中高大の実験学習や教員研修などを担当しました。そして現職(中学校理科)です。
 タイトルは「理科教師としてトップをはるには!」ですが,私は「教師の中のトップ」なんかではありません。この講座の「トップバッター」ですけどね(笑)。

トップバッターになるためには「人脈」というのが大切だと思います。今日は記念すべき1回目ということですが,話だけではあまり面白くないので,途中に実験をいくつか入れて話を進めます。

 

 


「理科教員でトップを張るための条件」をいくつか挙げてみます。
  1.理科の指導力
   学校評価,教員評価,学校選択制,学校評議員
   カリキュラムマネジメント,総合的な学習
   発展的学習の取り扱い,シラバス
   生徒の学力アップ  FA制度,教員公募制
  2.理科室経営
   理科室が使えないって?  2重3重の作戦
   教育環境,実験機器,理科室は特別な部屋?
  3.1週間の流れ,土日の部活,高齢化,複数免許

 

 


理科の指導力
 私の出身は福岡県ですが,そこの高校もこの大学(東京理科大)を多く受験するぐらい有名でした。ただ,教員は大学で勉強したことだけでやっていけるわけではないです。やはり卒業して,実際に教育現場に入って,そこで勉強するかどうかが大事だと思います。「良い大学に入り,しっかり勉強したから教員になっても大丈夫!」などと考える人もいますが,大学を出て,いきなり高校の物理の先生になって,皆に受け入れられるかというと,そうではないと思います。

 

 


学校評価

今は教員にとって厳しい時代です。マスコミに叩かれるとか,そんな話ではなくて,学校評価の話です。みんなも聞いたことくらいあるでしょう。その中で教員にとって一番厳しいのが教員評価です。後でどんなものか紹介します。
学校選択制

皆,東京の学生だから,品川区とか杉並区とかの話は知っているとは思います。これから全国で生き残りをかけた公立学校のバトルが始まるのかも知れません。
学校評議員制度

地域の方とか保護者が,学校経営にどんどん参加しています。良い方向に進むとものすごく良いのですが,そうではない学校の例もあるようです。

 

 


カリキュラムマネジメント

これは教員になって,すぐに取り組む必要があるものです。理科の知識があって,渡された教科書で授業できれば良いと言う時代ではないのです。自分で時間割を作らないといけない。君らが一番よく分かる言葉で言うと,シラバスを作らなきゃいけないのです。小・中学校で,です。これからそういう時代です。
FA制度
 京都市はこれを実施しています。例えば私が『次はあの学校に異動したい』と思ったとします。前はそんな希望は通りませんでした。FA制度では,自分の実績をもって「異動したい学校」に売り込むのです。そこの校長が『じゃあ取ろう』ということになれば,自分の異動希望が通るのです。(FA制度にはさまざまな制限があり,無制限に希望が通るわけではありません。)
 自分に実績があり,異動希望が通るような実力があるなら良い制度だと思いますが,そうではない教員にとっては逆にありがたくない制度なのかも知れません。
教員公募制
 いくつかの学校は教員公募制です。教員を公募するのです。私学や大学ではなく,公立の小中高等学校の異動時に,です。これで優秀な教員を集める。そういう学校が地域の核になっていきます。教育現場にいろいろな格差が生まれています。
 公立学校の教員を目指すなら,これらの事を知っておくべきです。

 

 


理科室経営

 これは君らの専門領域になってきます。あとで理科室が使えない例をお見せします。私は99%理科室で授業します。テスト返しまで全部理科室を使います。
 なぜ全部理科室で授業できるかというと,ほとんど専用で使える理科室があるからです。私だけではありません。他にも理科の先生は2人いますが,全員,「使いたいときに理科室を使える」のです。実際には他の先生は授業時間の3割程度しか理科室を使いませんので理科室には余裕があるくらいです。

使いたいときに使えるようにする作戦としては,時間割を決める会議に参加して『理科が重なったら理科室使えない』と伝え,自分でそうならないコマ割りをするのです。他教科に関しても,お互い利害があります。『1時間目は生徒が眠たいからできるだけ○○の授業は避けてください』と言う先生もいました。その希望も通す。そして,どうしてもコマ割りが難しいところは,「裏時間割」を作っておきます。それは時間割を一部交換したら理科室を使えるようになるものです。通常時間割としては弊害があるけど,月に1回程度ならOKというようなものです。そういう作戦をどんどん立てて,100%使えるようにしています。使いたいときに理科室を使える。これはものすごく大事です。

 

 


理科室の環境

実験器具があるから『理科室は特別な部屋』と思っている人も多いと思います。理科室に子どもが来るとそわそわする学校があるらしいです。落ち着きがなくなる。それはたまにしか使わないからです。私みたいに毎日使っていたら「普通の教室」です。生徒も慣れます。
 ふつうの教室ですから,生徒に無茶な要求もしています。理科室はすごく遠い場所にあるのですが,「ベル開始」にしていました。ベルで授業が始まるから,生徒は最初『えー!』って言いましたが,3日くらいしたら慣れました。それが当たり前になればできるのです。
1週間の流れ
 理科に限らず教員は時間的に大変です。運動部をもっていれば土日がなくなります。

複数免許

ここでは理科しか取れないかもしれないですが,京都市をはじめ全国各地で2種類以上の免許を持ってる人を優先的に採用する流れです。他教科だけではなく,小中とか中高など,複数免許を持ってると採用試験に有利です。
 

 

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