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「前にも話に出ましたが、道具の正しい使い方を教える。これも大事だと思います。鉛筆の持ち方とか、はさみの持ち方とか。道具の使い方とかの技術を勉強する。
  疎かにできない部分だと思います。こういう部分が、試験管の持ち方、振り方、顕微鏡の使い方等、いろいろなところに関連しているのではと思います。正しい持ち方、使い方です。『社会のマナー』というとらえ方をさせると『マナー』っていう言葉だけでつられて、頑張ってやってくれます。このそんなような話をします。
  次に提示方法についてです。提示方法次第で教材が生きるか死ぬかが決まります。授業の盛り上がりが変わってきます。情報が氾濫しているためか、『見たことある』『知ってる』と言う子がいると思います。そのような場合は、それまでの子どもの概念を壊してあげることが、一番大事だと思います。」



「『バカの壁』っていう本を読まれた方おられますか?医学部の人のことが出てきます。出産シーンのビデオを見せたあと、女性と男性で内容を質問すると、男性の方は、将来、直接、自分が関わらないことなので、意識が低く細かいところを見てなかった。女性の方は、もしかしたらっていうのがあるので、しっかりと細部まで覚えていた。
  何が違いかというと、見る前の姿勢ですね。目の前の現象が、必要か必要じゃないかを自分の中で、吸収するか吸収しないかに、置き換えてしまっているわけです。それを子どもも少なからずやっています。だから、個々の既成概念を崩してあげることが非常に大事だと思います。
  先ほどのオオミヤシも、なんで大きなものを用意したかというと、知らないものが、世の中にはたくさんあるんだというメッセージを伝えたいのです。やわらか頭になってもらうために、一回は、『君の常識は通用しないんだよ』っていうものをわざと見せるわけです。そういうことによって、定着率が上がったり、関心が高くなったりっていうことがあります。」



「『常識を越えた使い方をする。』あと、必ず『予想させる、考えさせる。』ことです。みなさんにも、意見を聞きましたけれど、何かやるときには、必ず意見を聞きます。間違ってもよいので、予想させること自体が、理科として大事なのです。
  また、『どきどきさせるような演出をする』と書いてありますが、常識を越えた使い方というのはどういうものか・・・。例えば、これがそうです。何だか分かりますか?これは実は圧力の実験装置です。これで人がのります。材料がガラスなので、壊れると思うと大丈夫なのです。中学生一人のることができます。
  圧力の話をして、この実験が終わったら、生卵の上に乗ってもらう。そうすると、のる人も見る人もドキドキするわけです。一人が失敗して、生卵をつぶしてしまうとそれでやっと実験終了だと思うじゃないですか。そこで、さらに一言「もう一セットあるよ」といって卵を用意してあげます。みんな、顔が青くなってくるわけです。のり方、(圧力の意味)があるのです。バランスを崩さない等。
  それでみんなで考えて、話をして、成功した時には拍手でした。拍手しながら、「卵って、強い!」と感激するわけです。
  そして『明日は圧力の話をします』ということで、次の授業の話に入っていきます。一番下に書いてありますけど、ストーリーとか流れを大事にしています。」



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「これは、電球です。電球は、電気の分野で使うのが普通です。実は、電球が浮く!(ブロワーで浮かせる)。
  このような使い方をすると、子どもは『あれ?』と思います。予想を越えたというか、予想外な実験をやると、『これから、いろんなことが、出てくるかも』と生徒に期待をさせておくこと。その点から興味が湧いたり深まったりっていうことになるのではないかと思います。
  一番下の『流れがある授業』は、いろいろなストーリーがあり、流れがあると、記憶に残ります。ストーリーがない(実験のみの単発)と、記憶に残りません。」



「大学で、台車を用意していただきました。「速さ」の学習を覚えていられますか?第1分野で、台車と記録タイマーを組み合わせて運動の実験を行います」いきなり、「速さ」と言われると分からない子がいたりします。そういう子に、速さの概念を教える教材として、これが必要なのです。
  黒板の上だけで、距離÷時間っていう覚え方じゃなくて、実質として、実感として、速さを理解してもらいたいのです。台車をつかって実験をやったり、台車の上でロケットを打ち上げたり、ボールを打ち上げをやってキャッチしたり、慣性の機械みたいなものです。」



「ちょっと話が、まとまらなくなってきましたが、流れのある授業は記憶に残ります。また、みなさんには、楽しい授業をやっていただきたいなと思っています。生徒が楽しめるものを目指してください。
  また、教師が楽しくないと子どもは楽しくないです。ぜひ、いろいろなものを使って楽しんで、楽しい授業を、そして、楽しい先生になっていただければと思います。
  『教育界のエジソンを目指して下さい』とか書きましたが、これで、教材、授業に関してのいち教員の経験のお話しをいたしました。長い間、ご清聴いただきありがとうございます。以上で講義は終わりたいと思います。貴重な機会をありがとうございました。」


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